人は誰にも好かれたい、良く思われたい。
承認欲求から、意識的・無意識的にさまざまな言動を行っていますが、
今回はそうした行動をひも解く興味深い心理学理論をご紹介します😊
<自己呈示(Self-Presentation)とは何か?>
他者からどのように見られるかを意識しながら、自分自身を意図的に表現・演出することを「自己呈示」と呼びます。
たとえば、初対面の相手には優しく丁寧に振る舞うことで「礼儀正しい人」という印象を与えようとしたり、ジムで鍛えている写真をSNSに多く投稿すれば、「健康に意識が高い人」と思われたいなど。
多かれ少なかれ、「自己呈示をやったことないわ」という人はいないはず。
筆者も初めて会う人とは、自分から挨拶したり、元気があるように!?自己呈示しています(笑)。
<「見せる自分?」と「見せない自分?」>
日常生活で、人は相手や状況に合わせて自分の姿を微妙に変えているのです。
例えば、友人や家族の前ではリラックスした「見せる自分」、職場や学校ではかしこまった「見せる自分」など、場面ごとに異なる一面を切り替えることがあるでしょう。
その背景には「この場面ではこう振る舞うのが望ましい」という周囲からの期待や好意、社会的役割や権威の獲得に意識が働いています。
一方で、他者にはあまり公開しない「見せない自分」の存在もあります。
弱みや本音など、信頼できる相手だけに開示したり、自分自身もあまり意識していない場合もあるかもしれません。
このように、いくつかの側面を組み合わせながら「見せたい部分」と「見せたくない部分」を使い分けているのです。
まさに、人間はカメレオンのように生きているのですねぇ💦
<抱いた印象に基づいて、その人への対応が変化>
他者から良い印象を持ってもらえると、人間関係がスムーズに運びやすくなります❤️
たとえば、この人は「優しそうだ」と感じれば、自然と相談しやすくなり、「しっかりしていそうだ」と感じれば、頼りにしやすくなるはずです。
もし、人の相談や面倒を見るが苦手だと感じる人は、「優しくない人」を演じると良いのかもしれません(苦笑)。
つまり、こちらが抱いた印象に基づいて、その人への対応が変化していきます。
これは逆の立場でも同じことが言えます。周囲の人たちは、あなたの言動や外見を手がかりにして「この人は明るい」「真面目そう」といったイメージを抱き、それをベースに接し方を決めていきます。
そう考えると、少しでも良い印象を与えたいと意識するのは、ごく自然なことと言えそうです。
もし、相手の自分への態度やコミュニケーションに納得いかないと感じている場合は、「自分の与えた印象」に原因がある可能性もあり!!
<就活は「望ましい自分」を演出する典型的な場面>
自己呈示の凝縮祭!?典型的な場面として、就活の面接が挙げられます。
「協調性がある」「スキルが高い」「責任感が強い」などのポジティブなイメージを持ってもらうために、服装や言葉づかいを工夫し、表情に気を配り、ガクチカや自己PRをしっかり準備して話すことが求められますね。
限られた時間の中で「自分の優れたところを見せる」必要がある場面。
筆者の個人的意見として、リクルートスーツや髪型のマニュアルは、令和においては、あまり意味をなしていないような気がしますが😅
<職場での人間関係と過剰な「背伸び」>
仕事において周囲と円満な関係を築くためにも、ある程度、自分の社交的な面や協調性を強調することが求められます。
実際には苦手な業務や不得意な部分があっても、あたかもそつなくこなせるように見せる努力をする場面もあるでしょう。
「能力がないと思われたくない」「嫌われたくない」と言いづらい!?
もちろん、過剰な「背伸び」は本人にストレスをもたらしますが、相手に対して「働きやすい人」と思ってもらうための工夫は、チームワークを円滑にする一助になります。
いつのまにか、あれも!?これも!?任されていたり(汗)。
一方で、こうした積極的な演出が「偽り」として捉えられる可能性もあります。
しかし、日常の多くの場面では、ある程度の調整をしながら、自分が望むイメージを相手に持ってもらえるように、言動や外見を調節することは決して珍しいことではありません。
ゴフマンの「演劇論的アプローチ」
社会心理学者のゴフマンは、人間の社会的行動を“演劇”にたとえて捉えました。
人は他者からの視線にさらされる「フロントステージ」と、他者の視線から離れて自分を取り繕わなくても良い「バックステージ」を使い分けながら生活しているといいます。
これはまさに「見せる自分」「見せない自分」という概念を理解する上で、大きなヒントを与えてくれる考え方です。
<まとめ✍>
- 承認欲求から、私たちは他者に対して「良い印象」を与えようとする行動を無意識のうちにとっています。
- 自己呈示(Self-Presentation) とは、他者からどう見られるかを意識しながら、自分を演出する行為。
- 日常生活では、「見せる自分」 と 「見せない自分」 を使い分けています。
- ゴフマンの「演劇論的アプローチ」によれば、日常を舞台にたとえ、人が役割を演じるように印象管理を行っている。
- このような視点は、身近なコミュニケーションをより深く理解し、人間関係を円滑にする手がかりとなりえます💪