何らかのミスや予想外の出来事が起こった場合には、そのままでは相手からの印象が悪くなってしまうかもしれません。
自分のイメージを回復するための自己呈示としての「釈明」を取り上げます。
朝寝坊して会社からの着信に気づかなかったとき、「朝起きたら、お腹がぐるぐると(痛)」と苦し紛れの言い訳をしたり!?
「いつもより電車が混んでいたせいか、乗り換えに時間がかかった」と正当化してみたり!?など、誰しも似た経験があるのではないでしょうか。
そんな筆者も、新入社員の時にやらかした経験があります😅
社会心理学でよく知られる「弁解(言い訳)」と「正当化」の違いを比較しながら、そのメリット・デメリットをまとめました☝
<「釈明」とは?>
「釈明」とは、自分の行為や結果が相手にとって好ましくない印象を与える可能性があるときに、それを修正・軽減・正当化しようとする対人行動や発言のことを指します。否定的な評価を避けたい、あるいは批判を和らげたいという場面で、多くの人が自然と行うコミュニケーションの一つです。
具体的には、「どうしてこうなったのか」「悪意はなかった」と説明したり、一部の責任を認めつつ自分や行為の価値を守ろうとしたりするのが典型的な形です。

<「釈明」の背景にある動機>
人は他者からの評価を気にし、その評価を良好に保ちたいという欲求(承認欲求)をもっています。
何か良くない出来事が起きると、社会的に不利な状況に立たされ、自分の印象が悪くなるのではと不安になります。
そこで「釈明」という方法を使い、否定的なイメージを軽減しようとするのです。
苦境に陥った状況で、困惑という感情を経験→みんな必死(苦笑)。
<「釈明」の主な種類>
社会心理学では、「釈明」は大きく以下の2つに分類して考えられます。
①弁解(言い訳)
自分と自分が行った行為との結びつきを弱めようとする試みです。
★主張の仕方
「自分の力ではどうしようもなかった」(コントロールできない)
「本来はそんなつもりではなかった」(最初から意図はない)
★具体例
・「体調が悪くて、いつものパフォーマンスが発揮できなかった」
・「システムエラーが発生して、失敗してしまった」
②正当化
部分的には自分の責任を認めながらも、その行為や結果が持つ否定的な意味合いを弱めようとする試みです。
★主張の仕方
・「この行為には大変な面もあったが、別の角度から見れば価値がある」
★具体例
・「厳しく指導したが、それは彼の成長のために必要だった」
・「時間はかかったけれど、結果的に良い作品になった」
<弁解(言い訳)と正当化のメリット・デメリット>
| 種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 弁解(言い訳) |
・相手からの厳しい評価を和らげやすい。 ・自分の責任を最小化することで、周囲の反発を回避しやすい。 |
・過度に強調すると「責任逃れ」だと受け取られる。 ・「自分の非を認めない人」という印象を与え、信頼感を損なう恐れ。 |
| 正当化 |
・否定的な行動や結果を、別の視点から“価値あるもの”と認識してもらいやすい。 ・多少の失敗があっても、意味づけを変えることで評価をプラスに転じる可能性がある。 |
・納得されなかった場合、「都合の良い理屈」だと思われる。 ・かえって相手の反感や怒りを買うリスクがある。 |
<釈明が果たす社会的・心理的機能>
釈明と聞くと、「失敗をごまかすための行動」という、ネガティブなイメージが強いかもしれません。
しかし実際には、以下のような社会的・心理的機能も担っています✨
(1)相手との関係性を維持する
「飲み会に誘われたけど行きたくない」、そんな時に本当の理由を言いづらい場面で、角が立たない理由を伝えて断ったことは、ありませんか?
相手の気持ちを傷つけずに断る(この場合は誘ってくれた相手の顔を立てる)ことで、人間関係の悪化を防ぎ、スムーズなコミュニケーションを保つことができます。
(2)社会的秩序を保つ
たとえ失敗やミスがあったとしても、そのまま放置すると周囲からの不信感が高まるかもしれません。
釈明を通して「なぜそうなったのか?」を共有し、誤解を解いたり、次に同じ問題が起こらないように気を配ったりすることで、周囲との調和をはかります。
(3)自己イメージの保護
人は自分のアイデンティティを守りたいという欲求をもっており、釈明によって自分自身の評価やイメージを保とうとする働きがあります。
これは決して悪いことだけではなく、適度な釈明は自己肯定感を支えたり、次の行動へのモチベーションを維持したりする面もあります。
<まとめ✍>
・「釈明」は、否定的な評価や批判が予想されるときに行われる自己呈示・印象管理の一種であり、社会心理学では「弁解(言い訳)」と「正当化」の2つが中心的に取り上げられます。
・「弁解(言い訳)」は自分の責任を最小化しようとし、「正当化」は行為の意味をポジティブに変換しようとする特徴があります。
・適切に使えば、失敗を乗り越えたり、人間関係を円滑に保つための効果的な方法にもなります。
一方で、やりすぎると逆に不信感を招きかねないため、慎重さが求められます。
釈明しなくて済むことが理想ですが💦
大切なのは、相手の状況や気持ちを考慮しながら、無理のない形で伝えること。
行き過ぎた言い訳やこじつけと受け止められないよう、あくまで誠実さとバランス感覚を忘れずにいたいものです。
話術に長けている人は、うまい具合に「正当化」して、話をまとめているような🧐
怒っていたり、不機嫌な相手が、思わず笑って、場を和ますような釈明ができたら!?と考えたりもしますが、ひとつ間違えると、「言わなければ良かった(焦)」と、後悔する展開になる場合も(苦笑)。
適度に!?に、釈明上手を目指しましょう😊