じぶん列車~小さな車窓から見えるもの~

産業カウンセラー。日々感じたことを、感じたままに書きとめる。目的地は決めず、その時々の関心事、景色や出会いを味わいます。

自己呈示の心理学理論<その4>なぜ「他人の成功」に便乗したくなるのか?

2月12日に放送された「所さんの笑ってコラえて」のダーツの旅では、佐藤栞里さんが岩手県種市町(現在の洋野町種市)を訪れました。

漁港の測量をしている男性と出会い、彼が「大谷翔平選手と同じ中学校出身なんですよ」と話すと、佐藤栞里さんは「すごい」「めちゃいい」と感嘆していました😊

自分の知っている有名人やブランド力のある何かとつながりがある人は、一目置かれたり、羨ましいと思われたり・・・は、よくありますよね🎵

<栄光浴(Basking in Reflected Glory)とは?>

栄光浴とは、他者の成功や栄光を自分に重ね合わせて、自尊心を高めようとする心理現象を指します。

たとえ自分が直接その成功に関わっていなくても、「有名チームのファン」「あの人と同じ学校出身」「知り合いが有名人」というだけで、自分まで誇らしく感じることがあるのです✨

具体例

・推しチームの応援
推しチームが優勝すると、まるで自分まで勝利したかのように誇りを感じる。

・有名な大学や企業との関係を誇示
「私の母校は○○大学」「勤め先は世界的に有名な○○社」など、自分が直接の成功要因ではなくても、組織の一員であることを強調して自慢する。

・有名人や成功者とのつながりをアピール
「友人が人気モデル○○で…」「知り合いがファッション誌の編集者で…」など、周囲が「すごい」と感じる人物との関係を話題にする。

心理的カニズム>

人は誰しも自己評価を高めたいという欲求を持っています。

自分の直接の成果ではなくても、成功者や有名な存在とつながることで、間接的に自己価値を上げられると感じるのです。

<栄光浴(BIRG)のメリットとデメリット比較>

項目 メリット デメリット
自己肯定感 成功者とつながることで、自尊心が向上 実力が伴わないと、自己評価が揺らぎやすい
人間関係 仲間意識が高まり、関係が強化される 過度なアピールは周囲の反感を買う
モチベーション 成功を見て「自分も頑張ろう」と思える 他者に依存しすぎると、自己成長を怠る
社会的評価 人脈やチャンスが広がる 失敗した際に自分の評価も下がる

<反射的損失の回避(Cutting Off Reflected Failure)>

栄光浴と反対の現象に「反射的損失の回避」があります。

友人や知人の成功・失敗

・「実はあの社長、昔から飲み友なんだよね」(=栄光浴)

・「あいつ?まぁ、一時期は知り合いだったけれど、今は関係ないよ」(=反射的損失の回避)

政党の人気による態度の変化

・「わたしは〇〇党の一員として、誇りと信念をもっています。党の方針に全面的に賛成しています」(=栄光浴)

・「わたしは〇〇党の一員ではありますが、独自の見解から、必ずしも党の方針に従うわけではありません」(=反射的損失の回避)

自分の印象と集団の印象が密接に結びついている事実も否定できず。

このように、成功しているときは自分と結びつけ、失敗すると距離を取ります。

日常の中でも意外とよく見られる心理ですね。

<まとめ✍>

昭和の時代には、「あんな人知っている、こんな人知っている」と名刺を目の前で並べ始めるオジサマを良くみかけたものです💦

個人情報のダダ洩れ(→今の時代は、怒られる)。

自分への興味関心を引きつけたいという意図も透けて見え、「この人には、注意しないと!」と思った経験があります(苦笑)。

人は、自分以外の誰かの業績や名声に自分を重ね合わせることで、手軽に自尊心を満たそうとすることがあります(便乗!?)。

しかし、栄光浴にどっぷり浸りすぎると、自分自身の成長や実力を高める機会を逃してしまうことがありそうです。

他者の栄光に頼らずとも、心から誇れる自分になりたい・・・と願いつつ、栄光浴と言えるネタとも出会いたいと思う筆者でした(笑)。