他者に特定の印象を与え、社会的影響力を獲得するための具体的方法として、ジョーンズとピットマン(Jones & Pittman, 1982)は、自己呈示を5つの戦略に分類しています。
日常生活や仕事でも、「これは、自分もやっているかも!?」、「あれは、同僚がよくやっているのを見かける」など。
人間関係の中で自分をどう見せたいか、あるいは他人がどのような印象操作を行っているか、理解するヒントになります🎵
今回は、それぞれの戦略を『鬼滅の刃』のキャラクターを例に挙げながら考察してみました🧐
<① 取り入り(Ingratiation)💖>
💡 特徴:とにかく相手に好かれることを最優先にする
✨ こんな行動をする!
- 穏やかな口調と笑顔で、周囲に優しさを振りまく
- 相手をさりげなく褒める(「さすが!〇〇さん」)
- 目線や表情、身だしなみなど、ちょっとした気遣いを欠かさない
🎭 鬼滅キャラ:胡蝶しのぶ
「もしもーし、大丈夫ですか?」と、ニコニコしながら声をかけるしのぶさん。
上品で優しい雰囲気を漂わせる(「たまに毒舌になる」は、考慮せず)。
⚠️ ここに注意
あからさまなご機嫌取りだと思われると、逆効果になる可能性がある💦
<② 自己宣伝(Self-Promotion)🌟>
💡 特徴:自分の実力や実績をしっかりアピールして評価を得る
✨ こんな行動をする!
- 得意なことを堂々と語る
- 「わたしは○○ができる!」と自信満々に宣言する
🎭 鬼滅キャラ:宇髄天元
「俺は元忍の宇髄天元様だぞ。その界隈では派手に名を馳せた男だ!」と声高らかにアピール。お嫁さんが3人いる、現在進行形のモテモテ実績。
⚠️ ここに注意
自慢話がすぎると、反感を買う可能性がある💦
<③ 示範(Exemplification)✨>
💡 特徴:正義感や道徳心の強さを見せつけ、尊敬を集める
✨ こんな行動をする!
- 自分を犠牲にしてでも周りを助ける
- 「あとはやっていくから、先に帰っていいよ」と自己犠牲をアピール
- 誰よりも誠実であることを強調
🎭 鬼滅キャラ:竈門炭治郎
「俺は長男だから我慢できた」という名言に代表される炭治郎。
自分よりも他人を優先し、鬼にすら同情する優しさを持つ…まさに模範的ヒーロー✨
⚠️ ここに注意!
“偽善”と見なされたり、「押しつけがましい」と思われる可能性がある、逆に敬遠されることも💦
<④ 威嚇(Intimidation)💢>
💡 特徴:威圧感や強さをアピールして、相手を従わせる
✨ こんな行動をする!
- 荒っぽい言葉遣いで相手をビビらせる
- 「わたしに逆らうのか?」的な雰囲気を出す
- 必要以上に攻撃的になってしまう
🎭 鬼滅キャラ:嘴平伊之助
「弱気なこと言ってんじゃねぇ!!」と、猪突猛進で相手を圧倒する伊之助。
強さを見せつけることで、自分の立場を確立しようとする。
⚠️ ここに注意!
長期的には反感や不信感を招き、関係の悪化につながりやすい💦
<⑤ 哀願タイプ(Supplication)😭>
💡 特徴:自分の弱さを見せて、周りに助けてもらう
✨ こんな行動をする!
- 「もうダメだ…」と弱音を吐く
- 涙ながらに頼み込む
- 「助けて…」と周囲にアピール
🎭 鬼滅キャラ:我妻善逸
「多分すぐ死にますよ俺は…」と涙と鼻水で訴える善逸。
危機的状況でも全力で弱音を吐く(実は「追い込まれてからが強い」は、考慮せず)。
⚠️ ここに注意!
依存的だと思われ、評価が下がる可能性がある💦
<『鬼滅の刃』登場人物による自己呈示戦略イメージ図>
番号 | 戦略名 | キャラクター例 | 行動のイメージ例 | 注意点 |
---|---|---|---|---|
① | 取り入り(Ingratiation) | 胡蝶しのぶ | 「もしもーし、大丈夫ですか?」穏やかな口調と笑顔、上品かつ優しい雰囲気で好印象を与える | 過剰なお世辞や露骨な媚びは「ご機嫌取り」と見なされ、逆効果になる場合がある |
② | 自己宣伝(Self-Promotion) | 宇髄天元 | 「俺は元忍の宇髄天元様だぞ。その界隈では派手に名を馳せた男だ!」 嫁さん三人というモテモテ実績を堂々と語る |
周囲からは「自慢が多いな…」と思われ、距離を置かれる恐れがある |
③ | 示範(Exemplification) | 竈門炭治郎 | 「俺は長男だから我慢できた」 自分より他人を優先し、鬼に対しても思いやりを見せるほどの途方もない優しさ |
「良い人アピール」に映ると、素直に評価してもらえない可能性がある |
④ | 威嚇(Intimidation) | 嘴平伊之助 | 「弱気なこと言ってんじゃねぇ!!」 荒々しい言葉遣いや態度で相手を圧倒する |
攻撃的すぎると反発されやすく、チームワークが必要な場面では不利に働く |
⑤ | 哀願(Supplication) | 我妻善逸 | 「多分すぐ死にますよ俺は…」 常に挙動不審で、涙と鼻水を流して弱音を吐きまくる |
頻繁に弱音を吐きすぎると、いざ本当に助けが必要なときに周囲が本気にしてくれない可能性がある |
鬼滅ファンの人たちは、「ここに登場していない、あのキャラは??」など、いろいろなご意見が聞けそうです😊
特徴的なシーンでタイプ分けをしてみたので、複数の戦略が当てはまるキャラクターもいるでしょう。
例えば、善逸が炭治郎に甘える時は、「①取り入り」にも当てはまりますよね。
< まとめ✍ >
自己呈示の5つの戦略は、実際に自己呈示を行う能力やその頻度には、大きな個人差があることが知られています。
ただし、どの戦略も使い過ぎたり、意図を悟られたりすると逆効果になるため、活用のバランスやさまざまな社会スキルも求められるでしょう。
職業により、いつの間にか磨かれる自己呈示戦略もありますよね。
筆者は接客や営業経験があるため、自然と「①取り入り」「②自己宣伝」を意識的or無意識的にやっている(求められる)と感じます。
プライベートでは、ここぞという効果的な場面で、「⑤哀願」が上手にできたら!?という憧れもありますが(笑)。
今年は『鬼滅の刃』劇場版「無限城」編が公開予定ですね。
これらの視点を持つと、日々のコミュニケーションや人気作品のキャラクター同士のやり取りを、少し違った角度から楽しめるかもしれません。
ちなみに筆者のお気に入りキャラは、天元様です❤️