政府は、全企業(従業員50人未満も含む)を対象にストレスチェックの義務化を進める方針を打ち出しました。
これは、一見すると従業員のメンタルヘルスを守る前向きな施策に思えますが・・・。
人材不足が深刻な中小企業・小規模企業にとっては、「チェックだけが増えて、何も改善されない」という不満増大も心配されます😥
<経営層と従業員の間にあるストレス感覚のズレ>
中小企業・小規模企業の経営層に見られる傾向として、
・「社員とは日頃から、コミュニケーションを取っているから、ストレスチェックは不要」→このタイプの社長、まだまだ多くいる😏
・「業界の特性上、ストレスは避けられない。これまでも、ストレスと闘いながら、みんな頑張ってきたんだ」→昭和の部活動のような精神論😫
・「誰かが高ストレスと判定されても、代わりが務まる社員がいない」→むしろ、チェックで明らかになるのは困る。ひとまず、今を乗り越えよう!?😒
また、従業員側も、
・「本音を言ったら、逆に居づらくなる💦」
・「高ストレスと判定されたら、仕事を続けられなくなるかもしれない💦」
・「人事評価に悪影響が出るかもしれない💦」
と感じ、 嘘の回答をしてしまう(コントロールする)ケース も考えられます🧐
このような状況では、ストレスチェックの結果が実態を反映せず、形骸化してしまうのではないでしょうか??
中間とりまとめには「ストレスチェックの実施結果の労働基準監督署への報告義務を、負担軽減の観点から課さない」と記載されていましたが、これで本当に実行されるのか??
問題はそれだけではありません、、、
この状況が放置されることで、 職場の心理的リスクがより深刻化します🥶
<疲弊する社員の抱える心理的危機>
ストレスが積み重なり、対策が取られない状況が続くと、次のような心理的問題が現れ、 職場全体の崩壊につながる危険性 があります。
① バーンアウト(燃え尽き症候群)
「もう限界だ…」
毎日、終わりの見えない業務をこなし、疲労がMAX。
しかし、人が足りないから休めない。
やがて、 仕事への意欲を失い、無気力になってしまう 。
→ 結果:突然の退職や長期休職者が増え、さらに業務負担が増加。負のスパイラルに陥る。
② 役割過負荷
「なんでこんなに仕事が多いんだ…」
少人数で業務を回しているため、 一人が複数の役割をこなさなければならない 。
営業、経理、総務まで兼務することも珍しくない。
→ 結果:キャパオーバーにより、ミスやトラブルが増加。
精神的負担が増し、職場全体の効率が低下。
③ 学習性無力感
「頑張っても、何も変わらない…」
意見を伝えても、「仕方ないよね」「うちの規模じゃ無理」と言われ続けると、 何をしても無駄だという感覚(学習性無力感)が生まれる 。
→ 結果:従業員は挑戦を避け、モチベーションを失い、結果的に企業の成長も停滞する。
④ 認知的不協和
「この働き方はおかしいのに、でも仕方ない…」
「社員を大切にする」と言いながら、長時間労働や無理な要求を強いる経営者。
その矛盾を認識すると、 ストレスや罪悪感を抱え、精神的に追い詰められる 。
→ 結果:従業員の心のバランスが崩れ、突然の退職やメンタル不調が増加。
⑤ 社会的手抜き
「どうせ頑張っても評価されないし…」
忙しいのに、頑張る人ばかりに仕事が集中し、何もしない人がいても放置される。
すると、「やってもやらなくても変わらない」と考え、意図的に手を抜く人が増える 。
→ 結果:職場の士気が低下し、最終的には優秀な人材が流出。
<必要なのは「チェック後の対応・実効策」>
ストレスチェックの義務化自体は、従業員の健康を守るために重要です。
しかし、 「チェックして終わり」では、むしろ職場の問題を表面化させるだけで、根本的な解決にはなりません👀
◆ストレスチェックの匿名性が守られること
→情報の筒抜け感はマズイっ!!回答の信頼性を高める
◆ストレスチェックの結果がすべてではなく、実際の勤務状況(遅刻・欠勤)や健康診断結果の把握
→プラスαとして、顔色、身だしなみ、言動の変化にも注意を向けたい
◆業務負担の分散策 (アウトソーシングや業務効率化)の導入
→業務の細分化、コア業務を見極める
◆メンタルヘルスの専門家と連携(外部カウンセラーの定期相談など)
→地方自治体により、無料サービスの案内あり
<まとめ✍>
精神障害による労災、10年で2倍と激増😨
メンタル不調者の増加、離職率上昇、企業の生産性低下という事態の悪化を防ぐためにも、 トップがどれだけ真剣に従業員の健康に向き合えるか が問われています☝
「従業員の健康を守ることは、国力の維持にもつながる」
国も、単に「ストレスチェックを義務化する」だけでなく、 中小企業・小規模企業が現実的に実施できるような支援策を整備しなければ、単なる「負担増」になるだけです😱
「マニュアル作成します」「登録産業医を増やします」「外部委託しましょう」では、十分ではありません。
あらゆる業界が人材不足と叫ばれる中、若者は未経験でも転職市場が開かれていますが、いわゆる働き世代は、すぐに新しい環境での仕事が見つかるとは限りません。
言い換えれば、 心身ともに無理をしやすい世代とも言えます 。
令和5年度の厚労省の発表「精神障害に関する事案の労災補償状況」によれば、
業種別の請求件数は「医療、福祉」887件、「製造業」499件、「卸売業、小売業」491件の順、年齢別の請求件数は、請求件数は「40~49歳」953件、「30~39歳」847件、「50~59歳」795件の順で多いとあります。
管理職も多い働き世代の心身を守るためにも、職場のメンタルヘルス対策を最優先課題として取り組むべき時 ではないでしょうか。