「ドーピング」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。
Olympicや国際大会などでは、陸上やフィギュアスケートなどの競技で「ドーピング検査」や「ドーピング違反」という言葉が報道されることがあります。
先日、スポーツ有識者から直接お話を伺う機会があり、あらためてドーピングについて学ぶことで、多くの気づきや驚きを得ました👀
<ドーピングとは何か?(おさらいの意味もふまえ)>
ドーピングとは、競技能力を増幅させる可能性のある手段(薬物あるいは方法)を不正に使用すること。
言い換えれば、本来の自分の力以上のパフォーマンスを、不正な方法で引き出す行為ともいえます👿
<なぜドーピングは禁止されるのか?(そもそも?)>
ドーピングが禁止される理由には、大きく3つの側面があります☝
①スポーツの公平性を守るため
スポーツは、同じルールや条件のもとで選手同士が競い合うことに意義があります。ドーピングはこの「公平性」を根底から否定し、スポーツの価値を損なう行為です。
②選手の健康を守るため
ドーピングに使用される物質や方法は、本来治療目的で使われるものであり、健康な状態で使用すると重大な副作用を引き起こす可能性があります。心筋梗塞、肝臓障害、腎臓障害といった深刻な健康被害が報告されています。
③社会的な影響を防ぐため
トップアスリートによるドーピング行為は、青少年をはじめとするスポーツ愛好者に悪影響を及ぼしかねません。健康被害のリスクを軽視したり、倫理観を軽んじる風潮が生まれる可能性があり、スポーツ全体への信頼を揺るがす事態を招きます。
<ドーピングの歴史(最初の発覚は?)>
ドーピングの歴史は、1886年には自転車競技において興奮剤の使用による死亡事故が報告されています。
その後も、1960年のローマオリンピックでは自転車選手の死亡事故が起こり、この出来事をきっかけとして、1968年のグルノーブル冬季オリンピックおよびメキシコオリンピックから正式にドーピング検査が導入されるようになりました。
<どのような薬物が使用されるのか?(目的や身体への影響)>
ドーピングに用いられる薬物には、さまざまな種類があります。
以下に代表的なものをご紹介します。
・アナボリックステロイド
筋肉を増強する目的で使用される薬物です。副作用として、冠動脈疾患、肝臓障害、腎臓障害、HDLコレステロールの低下、不妊症、頭髪の脱毛、部分的に多毛などが挙げられます。筋トレブームも影響し、効果が出ない人は、摂取方法を変えたり量を増やしたりと、なかなかやめられなくなり、依存性の危険も指摘されています😱
・成長ホルモン・インスリン
筋肉の肥大を促す作用がありますが、過剰な使用は健康への深刻なリスクを伴います。低血糖の場合、意識障害や昏睡に至る危険性もあります。高血糖の場合も、長期的に合併症を引き起こすリスクがあります😰
・β作用薬
心臓や気管支に作用し、心収縮力や呼吸機能を高めようとする薬です。喘息治療に使われる気管支拡張剤の中には、ドーピング禁止リストに該当するものがありますが、一定の条件下では使用が認められています。このような薬は治療目的で適切に使用する場合、申請により使用が認められます。これを「治療使用特例(TUE: Therapeutic Use Exemption)」といいます。
ただし、競技会時に尿中濃度が基準値を超えると、たとえ治療目的であってもドーピング違反と見なされる可能性があります。そのため、医師の診断書や事前の申請が必須です🧐
・アンフェタミン類・コカイン・エフェドリン
中枢神経を興奮させ、短期的にパフォーマンスを向上させようとします。
なお、漢方薬の中にもエフェドリンを含むものがあり、注意が必要です。たとえば、葛根湯、五積散、小青竜湯、麻黄湯などが該当します。漢方薬は生薬由来で身体にやさしい印象でしたが、どこでも入手できるので注意が必要です😨
・エリスロポエチン
赤血球の新生を促進し、酸素運搬能力・持久力を高める作用があります。過剰投与により、慢性腎不全や貧血を進行させます😥
・利尿薬
体重を減少させたり、尿中の禁止薬物濃度を低下させる目的で使用されることがあります😫
このように、一見治療に使われる薬物が、使い方を誤ると、選手生命にも影響する健康を害する危険な手段となるのです💦
特に腎臓の機能低下は、元の状態に回復させるのが極めて困難と言われています。
<「他者催眠」もドーピングに該当!?>
他者催眠とは、第三者が選手に対して催眠を施し、意識や感覚、精神状態に影響を与える行為を指します。例えば、痛みの感覚を鈍らせる、極度の集中状態を作り出す、といった目的で用いられることが考えられます🤔
実際に他者催眠が行われたいたかどうか、事実確認は難しい気もしますが、ルール上は「不正に競技能力を高める手段」に該当すると判断される可能性があるそうです。
スポーツ界では、薬物だけでなく、あらゆる不正なパフォーマンス向上手段を排除するための厳しい基準が設けられていることを、あらためて理解しました。
<まとめ☝>
ドーピングの薬物は、医療機関や専門のルートから入手している印象でしたが、一般のわたしたちでも簡単に入手できるものも多くありました💦
なごみ薬局の記事によれば、国内のドーピング陽性報告のうち、約40%がうっかりドーピングとのデータもあり。
育毛剤、花粉症治療薬のベタメタゾン、その他、のど飴からも指定薬物成分が検出😱
毎年情報が更新される薬物成分もあるため、選手はもちろん、監督・コーチ・関係者も含めて、詳細なチェックとフォローが必要ですね。
国によっては、「金メダルを獲得すれば、本人だけでなく家族や関係者も豊かな生活が保障され、国の英雄として讃えられる」とされる場合があります。
そんな重要な大会に挑むアスリートにとって、限られた選手生命の中で最高のパフォーマンスを発揮するための手段や選択を迫られることは、計り知れない心の葛藤を伴うでしょう💦
それでも、わたしたちは、正規に鍛え上げられた肉体や精神力の限界を目の当たりにするからこそ、スポーツ(人間)に感動し、夢を見るのだと思います😊