共感疲労とは、心理学者のチャールズ・フィグレーが提唱した理論です。
相手の悲しみや苦しみ、辛さに共感し、同情するあまりにストレスを蓄積してしまい、精神的なエネルギー低下が現れる症状。
心理学研究においても、人間は基本的に、共感能力が備わっていると言われます。
もちろん個人差はありますが、過度に感情移入をしてしまうと、無気力や不安障害、うつ状態をひき起こしてしまう恐れがあるのです。
映像は、実際にその場で居合わせたかのような臨場感も加わって、楽しい映像であれば笑い、悲しい映像であれは涙を流し、怒りで腹を立てるなど、疑似体験をしながら、感情のコントロールに影響を与えています。
ニュースは短い時間で伝えるために、極端かつ過激な映像を凝縮して伝えます。
この二年間、わたしたちはコロナウィルスという見えない恐怖と闘ってきました。
最近では、さらなる経済不安や混乱が懸念されるロシアによるウクライナ侵攻というニュースが連日報道されています。
破壊される街や爆撃音、倒れている死傷者、家族と離れ離れになった人たち、自国に残って戦うと火炎瓶をつくっている若者の姿。
戦争に実感のない時代に生きている私たちにとっては、情報の受け止め方も整理ができないまま、やるせない気持ち、憤りを感じている人も多いのではないでしょうか。
困難かつ、耐え難い状況、負の情報が多すぎて、抱えきれなくなっているのです。
―最近、なんとなく心身の不調を感じている方へ―
情報の過剰摂取は、知らず知らずに自律神経にも影響を与えます。
例えば、心拍数の上昇や、呼吸数も激しくなり、発汗、吐き気などの不快感は代表的なものです。
また、同じ映像が脳内でリピートしてしまうことで、不眠で悩まされている人もいます。
世界で起きている出来事に、当事者意識や関心を持つことは大切ですが、日常に軸足を置き、自身のメンタルを労わることも必要です。
映像以外の方法を意識して、ラジオや新聞などから情報を得る、目を休める、休養する、身近な幸せを実感できることに目を向けることに取り組んでみてはいかがでしょうか。