じぶん列車~小さな車窓から見えるもの~

産業カウンセラー。日々感じたことを、感じたままに書きとめる。目的地は決めず、その時々の関心事、景色や出会いを味わいます。

実際どうなの?”フレキシブル・オフィス”の理想と現実

”フレキシブル・オフィス”という言葉を聞いたことがありますか?

業務の内容に応じて働く場所を自分で選べるオフィスのことです☝

たとえば・・・

・静かに集中したい時は個室へ

・同僚と話し合いたい時はオープンエリアへ

・気分転換したい時は自宅やカフェで

 このように「仕事に合わせて働く場所を変える」柔軟な働き方が、近年のテレワークやABW(Activity-Based Working)の広がりとともに注目されています👀

 先日、産業・組織心理学研究,37(1),33–49に掲載の論文「フレキシブル・オフィス利用における従業員の自律的な工夫とテレワーク化の影響に関する探索的検討」遠藤一・薄良子・正木郁太郎(2023)について、業界・職種が異なるメンバーと意見交換をしました👄

 オフィス環境はウェルビーイングや生産性向上の重要な手段であり、影響に関する研究は進んでいますが、働く人自身がどのように主体的にオフィスを活用するかについての研究はまだ十分に行われていないそうです💦
 フレキシブルな環境で働く人々が、どのような理由で物理的な活動場所を選択肢、工夫をしているのか、さらにその背景にある要因は何か!?

 この論文の総合的な考察(一部抜粋)として、

①業務上の制約と自律性の現実
・従業員は業務内容による制約(紙・備品の使用、会議・イベント準備)を多く負い、自由に場所を選べる時間は全体の4割程度にとどまった。
• 活動場所の選択も限られ、自由に使われた空間は平均2.24種類にすぎなかった。

フレキシブル・オフィス環境でも、実際の自律性は理論通りには広がらず、制約下での選択となる🤔

②場所・時間を活用する自律的な工夫

業務上の制約(紙資料・移動・会議等)がある中でも、従業員は場所選び・時間配分を工夫し、集中と効率化を図る自律的な対応を行っていた。

(例)「出社した時は、〇〇の仕事をする」「まとめてやる」など。

③集中とコミュニケーションの両立課題

オフィス空間は、集中・プライバシーとコミュニケーション促進の間で、トレードオフ構造を持つ。
間仕切り➡️集中・プライバシー確保

オープン➡️ コミュニケーション促進

フレキシブル・オフィスでは、固定席に比べて、同僚・上司との自然な接触機会が減少し、話しかけづらい状況が生まれやすい😱

【従業員の主体的な工夫💡】
・課題を克服するため、従業員は独自の工夫を行っていた✨
・目当ての相手の近くに着席する💕
・相手の行動を読み、タイミングを見計らって接触を図る😊
こうした行動は、場当たり的ではなく計画的な工夫だった。

<メンバーから出た意見は?>

固定席支持派💺

・自分の決まった席がある(パーソナルスペース)という点に、安心感がある。

・お気に入りの飾り物やカレンダー、私物も置けて、好きな空間に整えられる。

・自分しか使用しないので、他者に気を使わなくて済む。

テレワーク支持派💻

・人の目に触れず、音楽・香り・椅子など、集中できる環境が整えられる。

・通勤のストレスから解放される🚃

フリーアドレスの不満が続出😥

フリーアドレスと言っても、役職者を中心に、いつも同じ席に座っているので、暗黙的に他の人が座りにくい。

・荷物の移動が面倒くさい(個人のロッカーがない)💦

・作業スペースの混雑状況が分からず、PC抱えて、あちこち場所を探すという余計な動きが増える。

・整理整頓や清潔さが維持されていないこともあり、不快な気持ちになることがある😒

・会議室が足りず、出社してもオンライン参加になることもある😣

 フリーアドレスという新しい職場環境が、必ずしも社員に受け入れられていない、逆に作業効率を下げてしまっているケースもあることが分かりました👀

 またコロナ流行が落ち着いて以降は、テレワーク禁止になっている企業も見られ、業界の特性や企業ごとの文化によって、簡単には「よしっフレキシブルに!」とはいかないようです💦

企業も制度導入ありきではなく、社員の声に耳を傾けながら、その会社に合った働きやすい職場づくりや働き方に取り組んでほしいですね。

ちなみに、筆者は基本、固定席が好きですね~💕💕

気分転換に共有ワークスペースがあったり、月・金はテレワークが理想です(笑)。